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愛知岐阜で建てる耐震基準の基礎知識|住宅の安全性を守る耐震基準とは?

住まいの豆知識

2025/10/31(金)

*もくじ*

1│耐震基準とは何か?

2│耐震基準の歴史的変遷

3│現行の耐震基準の内容

4│耐震基準と住宅の価値

5│新築住宅における耐震基準の注意ポイント

6│まとめ


1.耐震基準とは何か?

耐震基準の目的

耐震基準の最大の目的は、地震による建物の倒壊や崩壊を防ぎ、居住者の命を守ることです。
つまり、建物が地震に「まったく損傷を受けない」ことを保証するものではなく、人命を守るための最低限の安全基準を定めたものです。
日本では、大きな地震が起こるたびに耐震基準が見直され、より高い安全性の確保を目指して改正が続けられてきました。
地震災害の発生が比較的少ないとされる愛知・岐阜エリアでも、この耐震基準を満たすことは非常に重要です。
つまり、耐震基準とは人命保護と住宅の安全性確保のために設けられた最低限の基準値といえます。

建築基準法における位置付け

建築基準法における耐震基準とは、建物が最低限満たすべき地震への耐久性(耐震性能)を示した国のルールです。
建物が地震の揺れによって倒壊・崩壊しないように、過去の大地震から得たデータや教訓をもとに何度も改正・強化されてきました。
1950年の「旧耐震基準」から始まり、
1981年に「新耐震基準」、
2000年6月以降、木造住宅を中心に、更なる強化が図られた「2000年基準(現行耐震)」が適用され始めています。
これらの改正では、構造計算手法、耐力壁(壁量)の基準、基礎形状・柱脚・柱頭の接合方法などが見直され、現在では「震度6強〜7程度の大規模地震でも倒壊・崩壊しないこと」を目指した設計が求められています。


2.耐震基準の歴史的変遷

旧耐震基準(1980年以前)

旧耐震基準とは、1950年(昭和25年)に制定された建築基準法に基づいて定められた耐震設計の基準です。
1981年(昭和56年)5月31日までに建築確認を受けた建物が対象となります。
当時の基準では「震度5程度の中規模地震で倒壊しないこと」が目的とされていました。
建物が一部破損しても補修すれば居住可能であることを想定しており、人命を守る最低限の安全性を確保するための基準といえます。
技術的には、建物の自重に対しておおよそ20%程度の地震力(水平力)を加えた際に、構造部材に生じる応力が許容範囲内に収まるかを基準として判断していました。

新耐震基準1981年以降

新耐震基準とは、1981年(昭和56年)6月1日に改正・施行された耐震設計の基準です。
1978年の宮城県沖地震の被害を受けて、より大規模な地震(震度6強〜7程度)でも建物が倒壊・崩壊しないことを目的に強化されました。
旧耐震基準が中規模地震での安全性(一次設計)のみを想定していたのに対し、新耐震基準では「一次設計(中地震で損傷しない)」と「二次設計(大地震でも倒壊・崩壊しない)」の2段階設計が導入されています。
これにより、人命の安全を最優先に考えたより高い耐震性能が求められるようになりました。

2000年の基準改正ポイント(木造住宅)

2000年(平成12年)の建築基準法改正では、特に木造住宅の耐震性能向上が大きなポイントとなりました。
主な改正内容は次の通りです。

地盤調査の実施と、地盤条件に応じた基礎設計の義務化
柱・梁・基礎をつなぐ接合金物の規格強化
耐力壁の配置バランスと量の明確化
床の剛性確保(建物全体のねじれ防止)

これらは、1995年の阪神・淡路大震災で多数の木造住宅が倒壊したことを教訓に設けられたものです。
この改正により、愛知・岐阜をはじめ全国で木造住宅の耐震性は飛躍的に向上しました。


3.現行の耐震基準の内容

現行の耐震基準とは、2000年(平成12年)に改正・施行された「2000年基準」を指します。
この改正では、地盤調査の実施、基礎設計の強化、接合金物の適正化、耐力壁のバランス確保といった耐震設計の基本方針が明確に定められました。
これにより、建物は地盤条件や構造性能に応じたより精密な設計が義務付けられ、住宅の耐震性は大幅に向上しています。

耐震設計の基本方針

現行の耐震設計では、以下の3つの要素が特に重視されています。

・地盤調査の実施:土地の地耐力を確認し、適切な基礎構造を選定する。
・接合部の金物補強:柱・梁・土台などの接合部を金物でしっかりと固定し、揺れに強い構造をつくる。
・耐力壁の配置バランス:建物全体のバランスを保ち、地震時の「ねじれ」や「傾き」を防止する。

これらの対策により、地盤から建物全体まで一体となった耐震性能が確保される仕組みになっています。

必要とされる耐震性能

現行の建築基準法(新耐震基準)では、震度6強〜7程度の大地震でも建物が倒壊・崩壊しないことが求められます。
1981年の新耐震基準以降、震度5強程度の地震で倒壊しないという旧基準からさらに強化され、以下のような性能が目標とされています。

・中規模地震(震度5程度):軽微な損傷にとどまり、補修すれば継続して居住できる。
・大規模地震(震度6強〜7程度):倒壊・崩壊せず、人命を守るレベルの安全性を確保。

つまり、現行の耐震基準は「人命保護」と「地震後も生活が続けられる住宅性能」の両立を目指しています。

構造計算(許容応力度計算)の重要性

現行基準で定められた構造計算(許容応力度計算)は、建物が地震や風圧などの外力にどの程度耐えられるかを数値的に検証する方法です。
使用する材料の強度・断面形状・仕上げの重さなどを詳細に設定し、建物全体の安全性を確認します。
この構造計算は、より簡易な「壁量計算」よりも精密で、耐震等級3(最高等級)の認定を取得する際にも採用されます。
耐震性を重視する住宅づくりを行う上では、欠かせない設計手法といえるでしょう。

愛知・岐阜エリアは比較的地震被害が少ない地域とされていますが、南海トラフ地震など将来の大地震リスクは無視できません。
そのため、新築・リフォーム問わず、現行の耐震基準に適合した設計を行うことが住宅の安全性を確保する第一歩です。


4.耐震基準と住宅の価値

耐震性能と資産価値の関係

建物の耐震性能は、不動産の資産価値と密接に関係しています。
耐震性能が高いほど、地震時の安全性が高く、購入希望者からの信頼や安心感を得やすいため、リセールバリュー(再販価値)も上がります。

また、耐震性能の高さは以下のような経済的メリットももたらします。

修繕費用の抑制
地震保険料の割引
住宅ローンの優遇(例:フラット35Sなど)

特に耐震等級3を取得した建物は、中古住宅市場でも「高性能住宅」として評価されやすく、愛知・岐阜エリアでも資産価値の維持・向上に効果的です。

地震保険との関連性

地震保険料は建物の耐震性能によって割引を受けられます。
具体的には、住宅性能評価制度における「耐震等級」が高いほど地震保険料が割引され、耐震等級3の住宅は保険料が最大50%割引されます。
割引を受けるには、「住宅性能評価書」や「設計性能評価書」などで耐震等級を証明する必要があります。
愛知・岐阜でも高い耐震性能を備えた住宅は、地震時の被害軽減だけでなく、経済的な安心にもつながります。

将来のリフォームへの影響

建物の耐震性能は、将来的なリフォーム計画にも大きく影響します。
特に、旧耐震基準(1981年以前)で建てられた住宅では、耐震診断や補強工事が必要になるケースが多く、
これらを怠ると、改修コストや工期の増加につながるおそれがあります。
さらに、2025年4月の建築基準法改正では、いわゆる「4号特例」の対象範囲が縮小・見直しされ、構造関係の確認の実務が厳格化されました。
そのため、今後は耐震性能の高い住宅ほど、リフォームや増改築がしやすく、長期的な資産価値を保ちやすいと言えるでしょう。


5.新築住宅における耐震基準の注意ポイント

ハウスメーカー選びのポイント

愛知・岐阜で耐震性能の高い新築住宅を建てる際には、まず耐震等級の取得レベルを確認することが重要です。
耐震等級3(最高等級)を取得しているかどうかは、安全性の大きな指標となります。
さらに、以下の点もチェックしましょう。

・耐震実験の実績や公開データの有無
・独自の耐震構造・工法
・地盤調査や基礎工事の内容
・保証・アフターメンテナンス体制

特に、構造計算の実施や長期保証制度が整っているメーカーは信頼性が高く、地震に強い家づくりを行っている可能性が高いといえます。

設計段階での確認事項

設計段階では、建物の構造計算が適切に行われているかを確認することが大切です。
耐震等級の取得方法や設計根拠を把握し、必要に応じて許容応力度計算による詳細な耐震設計を依頼するのもおすすめです。

主な確認ポイントは次の通りです。

・基礎形状が地盤に適しているか
・柱筋交いの接合部の強度
・耐力壁の配置やバランスが適切であるか
・設計図書や構造図が正確であるか

設計者や施工会社の経験・技術レベルも、耐震性を左右する重要な要素です。

施工時のチェックポイント

施工段階では、図面どおりの構造部材や金物が正確に施工されているかを確認することがポイントです。
耐震性能を高めるためには、以下の要素が重要になります。

・建物の形状がシンプルで凹凸が少ない
・地盤が強く、適切な地盤改良が行われている
・耐震等級3の取得および住宅性能評価書の有無を確認
・現場監督や第三者検査機関による検査記録のチェック

施工精度が低いと、設計どおりの耐震性能を発揮できません。
現場の品質管理体制と施工会社の実績を重視することが、長く安心して住める家づくりにつながります。


6.まとめ

耐震性能は、安全で快適な住まいを実現するための最も重要な要素の一つです。
耐震基準の歴史や耐震等級の違い、地盤調査や基礎構造のポイントを正しく理解することで、より安心できる家づくりが可能になります。

特に地震が多い日本では、耐震性能を十分に考慮した住宅設計が欠かせません。
愛知・岐阜でも同様に、地域特性や地盤条件を踏まえた耐震対策が求められています。

そのためには、耐震設計や施工実績が豊富な信頼できる建築会社と相談しながら、長く安心して暮らせる家を計画することが大切です。

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