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住宅のランニングコストを抑えるための家づくりとは?

住まいの豆知識

2021/06/27(日)

家を建てることを決めたとき、まず一番に目が向くのは土地や建物の建築にかかるコストでしょう。でも家は購入したその時だけのものでなく、何十年と暮らし続けていく場所です。したがって、長い時間軸のなかで発生しうるランニングコストのことも、あらかじめしっかり認識しておく必要があります。

今回は「住宅のランニングコスト」について、詳しくご説明させていただきます。

*もくじ*

1│住宅のランニングコストとは

2│光熱費のランニングコストを抑える方法

3│まとめ


1.住宅のランニングコストとは

購入した住まいを維持していくために必要なランニングコストには、以下のようなものがあります。

 

税金

固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者に対して納付を求められる税金です。行政が住まいの「土地」「建物」それぞれに対して固定資産税評価額を定め、一定の税率を乗じて算出されています。毎年1月1日現在で不動産を所有している人に納付の義務があります。

 

利息

住宅ローンを利用する場合に発生するランニングコストが「利息」です。概ね20~35年の返済期間を選ぶ人が多く、この期間中は毎月、返済額+利息分支払わなければなりません。

繰り上げ返済などによって、「利息」にかかるランニングコストを抑えることも可能です。ローンの種類や金融機関によって、繰り上げ返済に関するルールはそれぞれ異なるので、事前にしっかり確認しておく必要があります。

 

保険料

災害時による住宅の建物や家財などの損害を補償するために、地震保険・火災保険など住宅保険にも加入が必要です。さまざまな企業が保険商品を取り扱っており、その保険料や補償の範囲も多様です。安心して日々暮らしていくために不可欠な住宅保険です。コストと補償内容のバランスを考えながら、慎重に選びたいですね。

 

メンテナンスや修繕の費用

建てたばかりの新しい住まいは不具合なく快適に暮らせますが、時が経つと傷みや破損が生じ、その修繕のためのコストがかかるようになります。また、致命的な損傷がなくても、その後10年、20年と快適に暮らし続けられるよう定期的なメンテナンスも必要になるでしょう。

修繕やメンテナンスの箇所にもよりますが、数十万円~百万円単位でのコストがかかる場合もあります。不便なく暮らしている間はなかなか気づきづらい費用ですが、備えとして日ごろから考えておくと良いですね。

 

光熱費

電気やガス、灯油など、生活に必要なエネルギーを購入するためにかかる費用全般を指します。家にいる時間の長さや家族の人数など、住む人のライフスタイルに直結する費用です。

現在は「省エネ」「高効率」性能を備えた家電が多いので、それらを生活にうまく取り入れていくのも良いでしょう。


2.光熱費のランニングコストを抑える方法

前項でまとめたランニングコストのうち、税金については変動させることが難しく、利息・保険料などは、選ぶ商品により多少の増減はあるものの、大幅なコスト減は期待できません。

ここでは、家の性能や暮らし方によって大幅に変動する「光熱費」について、ランニングコストを抑える方法をご紹介したいと思います。

 

高気密・高断熱住宅

精度の高い建築部材や断熱材などによって、住宅の隙間をできるだけつくらない「高気密住宅」、高性能な窓や断熱材によりできるだけ外の空気や温度を室内に伝えない「高断熱住宅」。こうした住宅は、外の気温による影響を受けにくいこと、冷暖房機器を効率的に使えることから、光熱費のランニングコストを抑える効果があります。

高気密・高断熱住宅は、高性能な建築部材や住宅設備を用いることから建築費用(=初期費用)がやや高くなります。しかしある試算によると、昭和55年と平成28年それぞれの省エネ基準による一般住宅では、年間光熱費が80,000円以上の差になることもあるようです。同じ家に20~30年以上暮らしていくことを考えると、その差はもっと大きくなるので、初期費用以上の価値になるかもしれません。

高気密・高断熱住宅は実現が難しい場合には、玄関ドアや窓などの主要な住宅設備を気密性・断熱性の高いものにするだけでも光熱費に差が生じてきます。各メーカーの商品をじっくりと比較して、適正な性能を持つものを選ぶと良いでしょう。

 

外壁

外壁の建材となる木やアスファルトには、断熱効果はありません。そのため外壁の材質や断熱材などによって、断熱性能を持たせる必要があります。また昨今では断熱効果のある塗料を用いるケースもあります。断熱性能の高い外壁であれば、光熱費を抑える効果が期待できます。注文住宅等で外壁材を選ぶ際は断熱性能にも目を向けてみると良いかもしれません。

加えて、外壁の「面積」にも注意が必要です。家の形が複雑になるほど外壁の面積(表面積)は大きくなります。すると外気に晒される範囲が大きくなるので、そのぶん室内の温度にも影響を受けやすくなります。したがって、凹凸の少ない真四角の家が光熱費を抑えやすいと言えます。外壁の面積が大きいほど、当然建築時の施工費やメンテナンス費用も嵩みます。家の大きさや形を決める際は、その点もぜひ考慮しながら検討してみてくださいね。

 

屋根

屋根は、建物のうちで一番日光を浴びる時間が長く、温度変化も大きくなります。従って屋根の断熱・遮熱性能は、光熱費に大きく関わるポイントと言えます。

断熱性能の高い屋根材、野地板の裏に断熱材を張る外断熱、天井の上に断熱材を張る内断熱などによって、温度変化をできるだけ一定にすることで光熱費削減の効果を期待できます。なお、複雑な屋根の形状の場合、外断熱の施工が難しくなり、施工コストにも影響を及ぼすことがありますので注意しましょう。

 

間取り

家の間取り設計においても、光熱費のランニングコストを抑える工夫があります。

まず、外壁の項でもお伝えしたとおり、家の形が複雑になるほど外気温の影響を受け、冷暖房効率が悪くなります。また部屋の数が多くなれば設置するエアコンの台数も増え、結果的に光熱費が高くなります。したがって、適正な大きさで形状がシンプルな総2階建ての家が光熱費のランニングコストを抑えやすい家と言えるでしょう。

さらに天井の高さや吹き抜けにも考慮が必要です。温かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすい性質があります。よって、冬場の暖房効率の点では、天井を高くしすぎないこと、吹き抜けをできるだけ避けることが大切です。

家族の気配を感じやすいリビング階段を取り入れた間取りも、階段スペースを伝って暖気・冷気が行き来するため冷暖房効率のよい家とは言い難くなります。

間取りは、理想とする家族の暮らし方、ライフスタイルのイメージを最優先に設計していくのが良いと思います。しかし、せっかく理想どおりの家を手に入れても、光熱費が暮らしを圧迫するようになってしまっては元も子もありません。住み始めてからの後悔がないよう、設計時にも「光熱費」という着眼点をぜひ取り入れてみてくださいね。

 

住宅設備

住宅設備はどんどんその性能が向上し、節電や節水、省エネが当たり前になっています。住まいづくりで住宅設備(キッチンやトイレ、お風呂など)を選ぶ際は、ぜひ節電型・節水型のモデルを積極的に取り入れましょう。

また、照明をLEDにしたり、家電を新しいモデルにすることでも、光熱費削減は十分に効果が出てきます。すべてを一気に買い替えるのは難しいと思いますが、タイミングの都度、省エネ性能の高いものを取り入れていくと良いですね。


3.まとめ

今回は住宅のランニングコストに着目して、その種類と光熱費を抑える方法をご紹介してきました。住まいづくりの際は、その金額の大きさからどうしても建築費用にばかり目が向きがちですが、家が完成し、暮らしが始まった後にも考慮すべきコストがたくさんあります。今回の記事が、みなさまのおうちづくりの参考になりましたら幸いです。

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