【施工事例 04】外と内、日常と余暇、繋がりを大切にした中庭
注文住宅
2024/03/01(金)
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2024/03/01(金)
大小の石を組み合わせて地面に起伏をつくり、その間に草花を植え込む庭の仕立て方を、ロックガーデンと呼びます。門から玄関まで、あるいは門からテラスまでをつなぐアプローチの脇に取り入れると、まっすぐなだけの通路が、季節ごとに表情の変わる場所に変わります。
石と植栽を組み合わせる仕立て方が外構で選ばれるのには理由があります。芝生や花壇のように面全体を整える必要がなく、石の間に植えた草花が多少不揃いに育っても景色として成り立ちます。手をかけ続けられる時間が限られているご家庭でも、庭づくりを続けやすい形です。
この記事では、リビングとテラスをつなげた施工事例を手がかりに、テラスと室内を一体に見せる考え方、玄関側とテラス側で性格を分けたアプローチの組み立て方、石と植栽で庭を仕立てるときの材料選びと手入れまでを整理します。
この記事では、次の内容を整理します。
※免責事項:本記事に記載されている情報は、執筆時点の関連法規および公的機関の発表データ等に基づいています。実際の建築計画においては、最新の法令や各自治体の基準をご自身で確認してください。

この住まいのLDKは、木を贅沢に使った仕上げでまとめられています。大きな開口部の窓を開け放つと、室内とガーデンテラスがひと続きの空間になります。テラスの周りには地植えの大きなグリーンと小ぶりの鉢物が並び、爽やかな印象に仕上がっています。ダイニング脇のワークスペースからもテラスの景色が見渡せる配置です。キッチンでの家事の合間や、少しパソコンに向かう合間に目を向けられる場所に緑があると、短い休息の時間が変わってきます。
室内とテラスをひと続きに見せたいときに大きく関わるのは、窓の大きさよりも床の高さです。室内の床面とテラスの仕上げ面の段差が小さいほど、視線が途切れずに外へ抜けていきます。掃き出し窓の下枠を低く納める、テラス側の仕上げを室内の床に近い高さまで上げるといった方法で、境目を目立たせずに済みます。段差をなくしきれない場合も、1段の蹴上げを低く抑えて幅を広く取れば、腰掛けられる縁側のような場所になります。
床の素材を室内と揃えるか、あえて変えるかも見え方を左右します。木の質感でつなげたいなら、室内の無垢材に近い色味の木質デッキ材を選ぶと、開口部の内と外がひと続きに見えます。汚れや雨の跳ね返りが気になるなら、磁器質タイルや石張りにして、色味だけを室内に寄せる方法もあります。テラスに使う素材ごとの持ち味は、今どきのデッキの種類と使い勝手でも紹介しています。
屋根の掛け方も考えておきたい部分です。軒や庇がテラスの上まで伸びていれば、夏の高い日射しを遮りながら、冬の低い日射しは室内へ届きます。雨の日でも窓を開けたままにしやすく、テラスに置いた家具の傷みも抑えられます。屋根を掛けない場合は、パーゴラにつる性の植物を絡める、日除けを後付けできる金物だけ先に仕込んでおくといった手が使えます。
忘れやすいのが水の行き先です。テラスは雨がそのまま当たる場所なので、建物から離れる方向へわずかに勾配をつけ、排水の経路まで決めておきます。平らに見えて実は水が溜まる、といった状態になると、汚れや苔が付きやすくなります。植栽の足元に土が露出している部分があるなら、雨で土が流れ出て舗装面を汚さないよう、縁の納まりもあわせて検討します。
テラスを外から見られる場所にするのか、家族だけで過ごす場所にするのかも、早い段階で決めておくと計画が進みます。道路や隣家からの視線が気になるなら、塀で囲い込むより、高さの違う植栽を重ねて視線を和らげるほうが圧迫感が出ません。テラスと室内の関係の作り方は、タイルデッキをセカンドリビングとして使う施工事例も参考になります。

この事例では、インターホンを設置した門柱から、アプローチが二つに枝分かれしています。玄関へ続く一方は、なだらかでシンプルな仕上げです。ベビーカーや車いすでの出入りも安心して行えます。もう一方は大小の石を配して仕上げたロックガーデンで、そのままテラスへつながります。お友達を招いてテラスで過ごす休日には、玄関を通らずに、このアプローチから直接ご案内できます。
アプローチを2本に分ける組み立て方は、役割の違いをそのまま形にしたものです。毎日の出入りと来客の応対に使う経路は、荷物を持っていても、傘をさしていても歩きやすいことが第一になります。一方で、家族や親しい方を庭へ迎え入れる経路は、多少の起伏や曲がりがあったほうが景色が変わり、歩く時間そのものが楽しくなります。同じ庭の中で性格を分けておけば、どちらかに無理をさせずに済みます。
歩きやすさの側で押さえておきたいのは、幅と勾配と足元の材料です。通路の幅は、人がすれ違える寸法を確保しておくと、来客時にも窮屈になりません。傾斜地でどうしても高低差が出る場合は、段差で処理するか、緩やかなスロープにするかを早めに決めます。スロープは長さが必要になるため、敷地の余白と相談しながら形を探ることになります。
舗装材はそれぞれに向き不向きがあります。どれか一つが正解というより、経路ごとの役割に合わせて使い分ける考え方が向いています。
門柱まわりの納め方も、日々の使い勝手に直結します。インターホン、表札、郵便受け、宅配用の受け取り箱をどこにまとめるかで、来客の立つ位置と家族の受け取り位置が決まります。門柱を敷地の奥に置くと落ち着いた構えになりますが、宅配の受け取りのたびに奥まで歩くことにもなるため、日常の動きを思い浮かべながら位置を決めていきます。
夜の見え方も計画に含めておきたい部分です。足元を照らす低い灯りを点々と置けば、段差の位置が分かり、同時に庭の輪郭が浮かび上がります。灯りの色と置き場所の考え方は、庭照明が外まわりの空間で果たす役割で詳しく触れています。玄関まわりの素材選びについては、玄関アプローチの素材の選び方もあわせてご覧ください。
外まわりの工事は、建物の計画と切り離して後回しにすると、置き場所が決まらないまま形だけ整えることになりがちです。給排水や電気の配線は建物側の工事と一緒に進めるほうが手戻りが少なく、水栓や照明の位置も自由に決められます。費用の見通しの立て方は、外構工事の費用の考え方と進め方で整理しています。

このアプローチには、住まいのシンボルツリーとも呼べる高木が立ち、その足もとをグリーンと花々が彩っています。季節の移ろいが感じられる、気持ちのよい通路です。少し無造作に仕上げても様になるのがロックガーデンのいいところで、難しい知識がなくても、気軽にガーデニングを楽しめます。
石を組む庭は、もともと高山の岩場に育つ植物を育てるための仕立て方から広まったものです。石と石の隙間に土を入れて植え付けるため、水が溜まりにくく、根の周りが蒸れにくくなります。乾いた土を好む植物と相性がよく、雨の多い地域でも育てやすい環境をつくれる形です。
石選びでは、大きさの違うものを混ぜるのが基本になります。同じ寸法の石を等間隔に並べると人工的な列に見えますが、大きな石を数点だけ据え、その周りに中くらいの石と小さな石を散らすと、自然の岩場に近い景色になります。種類は揃えたほうがまとまります。産地の違う石を並べると色味と質感がぶつかり、庭全体が落ち着きません。
据え方にも決まりごとがあります。石は地面に置くのではなく、下の部分を土に埋めて据えます。地面から生えているように見え、雨や人の出入りで動くこともなくなります。石の広い面を上に向け、もともと地層で上下だった向きを揃えると、複数の石が同じ土地から出てきたように見えてきます。
水はけの確保は、石組みの仕上がり以上に生育を左右します。土が締まって水が抜けない場所では、根が傷んで植物が長持ちしません。掘り下げた底に砕石を敷いて水の逃げ道をつくり、植え付ける土には軽石や砂を混ぜて粒の隙間を確保します。地面をわずかに盛り上げて起伏をつければ、雨水は自然と低いほうへ流れていきます。
植栽は高さで役割を分けて考えると選びやすくなります。高木は庭の骨格を決める木で、玄関やテラスから見上げる位置に据えます。中木は目隠しと季節の彩り、低木と下草は土の露出を隠す役目です。
日の当たり方は、植える前に半日かけて確かめておきたい条件です。同じ庭でも、建物の南側と北側、塀の内と外では、日照時間も乾き方も変わります。日なたを好む植物を日陰に植えると花付きが悪くなり、逆に日陰を好む植物を強い日差しの下に置くと葉が焼けます。石の裏側にできる日陰は、小さな下草を植える場所として使えます。
手入れの手間を抑えたいなら、伸びる速さの遅い種類を中心に組み立てる方法があります。成長の早い木は景色が早く仕上がる代わりに、剪定の回数が増えます。石の間に植える草花も、こぼれ種で広がる種類は放っておくと一面を覆ってしまうため、広がってほしい場所とそうでない場所を分けて植え付けます。
季節ごとの手入れは、やることが決まっています。春は伸びはじめた雑草を根から抜き、傷んだ枝を落とします。夏は水やりと、茂りすぎた枝の間引きです。風が抜けるようにしておくと蒸れによる傷みを抑えられます。秋は落ち葉を集め、翌年に向けて株分けや植え替えを行います。冬は葉を落とした木の形を整え、寒さに弱い鉢物を移動させます。石の表面に苔や汚れが付いたら、水とブラシで落とせる範囲にとどめ、強い薬品は使わないほうが植栽を傷めません。
石の間に土が見えている部分には、砂利やバークチップを敷く方法もあります。土の乾きが緩やかになり、雨のときに泥が跳ねて舗装面を汚すことも減ります。和の雰囲気でまとめたいなら砂利、木の質感に寄せたいならバークチップ、というように、建物の外観と合わせて選びます。外構全体の組み立て方は、建物と調和させた和モダンの外構事例もあわせてご覧ください。
石の据え方や植栽の配置は、図面の上だけでは決めきれない部分が残ります。現場で高さを見ながら石を回し、木の枝ぶりの向きを調整していく作業が、そのまま仕上がりに表れます。
当社には100名を超える大工集団が在籍しており、建物と外まわりを同じ担当者間で情報共有しながら進めています。庭の相談は、建物の計画と一緒に始めていただくと、配線や水栓の位置まで含めて組み立てられます。
実際の庭とテラスの寸法感は、写真では分かりにくい部分です。展示場で実物をご覧いただけます。
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